活動のひとつとして、小学校などで障がい者と子どもたちの交流の場を設けています。たとえば大阪市港区の田中小学校では、授業参観にパラスポーツを取り上げてもらっている事例などがあります。水泳・タンデム自転車試乗・ランニング伴走・車いす試乗会・車いす卓球・手話・点字・義足展示など、40人ほどの障がい者と学校の児童が混じって、さまざまな種目などを一緒に体験する試みで、NPO設立前よりもう4年ほど続いています。

 障がいのある人と接する際、大人になるにつれ少し構えてしまったり、変に気を遣ってしまうことがあるものですが、子どもたちは驚くほど自然に接し、授業を楽しんでいるといいます。

 お手洗いを探しているとなんの躊躇もなく「なにかお手伝いしましょうか?」と声をかけてくれ、その場まで連れ立って行ってくれる。人気の種目は人だかりができ、参加者はみな本気でスポーツを楽しむ。お互いの気遣いはあっても、違いを意識した「特別な配慮」は感じられない自然な雰囲気の中で交流は進んでいきます。

 子どもたちの反応は大人の想定以上のこともあります。目隠しをした状態で泳ぎ、視覚障がい者の泳ぎを体験するブラインドスイミングを高学年児童にすすめた際、何人かの生徒が「やりません」と言うのです。怖いのかと思っていると、「自分は視えるのだから、視えない体験よりもそういう人たちを助けるスイミングならしたい。そういう講習をやってください」と言うのです。朝野も驚いて、「そうなの?来年は考えるね。でも、ヘルプをするのに、される方の人のことがわかってくれてるともっといいから試してみてくれないかな?」と話すとすすんで体験してくれたといい、これを見ていた保護者達も、自分たち以上の考えを子どもが持っていることに驚きながら、その成長を喜んでいたというエピソードもあります。

 この学校には身体障がい児が通常から通学しており、学校全体でもそういう土壌ができていたこともあるのですが、本来こういったハンディキャップや障がい・お互いの違いを自然に受け入れることができる社会であれば、どんな人も生きやすくなるでしょう。

 そのためには身近にいろいろな存在を知って、またどう対応すればよいかということを知ることが一番の近道になります。
そのために本NPOは、健常者と障がい者が接する機会を積極的に作ったり、「助けになりたいが、どのようにすればよいかわからない」という人と、助けの必要な人を結びつけるマッチングなどに力を入れています。その結びつきをさらに補完する公的機関や自治体・企業や各団体の支援があれば、さらに活動が促進されると考え、さまざまな連携先を探っているのです。

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